オリジナル食器を作る

当サイトの中でも最も高いアクセス率を誇るコーナーです。オリジナルデザインの陶磁器、食器を作るということが、一体どういうことなのか、少しでも理解が深まれば、と思って作成しました。

ひとことで「オリジナルな食器を作る!」と言っても、その意味するところは様々です。例えば、店名の入った寿司湯呑をつくるのもそうなら、ディナーセットを自分の気に入った花柄で作ってしまう、なんてことも考えられます。そして、だれも思いつかないようなかたちをした器を作ってしまう、これが究極の「オリジナル」でしょう。でも、実際どこまで簡単にできるものなのか、限られた予算の中でどれぐらいのことができるのか、そしてオリジナル食器をつくるのに一体なにからはじめたらよいのか???わからないことは多すぎます。 このコーナーではそもそもオリジナル食器を作るとはどういうことか、どんな意味があるのか、といった根本的なことから、実際の制作手順などをいろいろなケースに分けて説明していこうと思います。

総論概要

オリジナル食器を作るとはどういうことなのか

ここで言う「オリジナル食器」はいわゆる「名入れ」、つまり店名などのロゴを陶磁器に焼き付けることも含めています。これらと、ワンポイントでちょっとした柄を入れるのは行程が全く同じ、だからです。 さてこの「概要」では、「オリジナル食器をつくる」ということを、比較的簡単なものから複雑なものへ、そして高度なものへ、という順番で説明していきます。自分がやりたいこと、やろうとしていることが一体どういう位置づけなのか、理解していただいた上、それぞれのレベルの詳細な説明のページへ移動していただくと良いかと思います。

レベル1 名前(店名・ロゴ等)を入れる

もっとも基本的な”オリジナル”

元来、食器に店名を入れるのは、ほとんどの場合「出前用」の食器のためでした。つまり、使用済みの食器の迅速かつ円満な回収のため、自分の店の名前と電話番号を焼き付けていたのです。現在、器に店名を入れることは、実用的な面より、イメージアップという意味合いが強い、と思います。特にチェーン店展開やフランチャイズ化を考えたとき、お客様に提供するための食器そのものが広告塔となる、ということは見逃せないメリットです。そして、陶磁器に名入れする、ということは何度も申し上げるようにその店でしか使っていない食器をわざわざ焼いている=わざわざ作っている、ということになるわけで、使用する食器のグレードの評価が上がり、その分お客様にPRする度合いも多い、というわけです。

しかし、どのような場合にもこの方程式が成り立つわけではなく、むやみやたらな名入れはかえって食器の品格を落とす場合もあります。例えば、会席料理で、デザインの違うすべての食器に名前が入っていたら・・・どうでしょう? いずれにしても、何度も繰り返すように「名入れ」というのは、オリジナル食器を作るのと同じ意味なのです。よりよいものを作ろうと思えば、いくら指定ロゴや指定色があっても、全体とのバランスを考えての食器の選択やロゴの色指定、そして名前を入れる場所等の様々な要素の十分な検討が必要でしょう。

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レベル2 オリジナルな柄をつける

本格的”オリジナル”食器の制作

作業としては前項の「名入れ」と全く同じです。ただ、デザインという要素が加わると色の指定とかがシビアになることは言うまでもありません。細かい作業工程についてはここでは触れませんが、相手は「焼き物」ですから、焼いてみないとわからない要素もたくさんある、ということを頭に入れて置いてください。元のデザインをスキャナーで読みとってそれを4色分解して出来上がり、といかないのが「焼き物」の奥の深さです。DICの色番号での色指定でも、ごく希にうまく行く(発注者に納得していただける)場合もありますが、大抵の場合、色見本通りは難しい、と思っていた方が良いです。

もう一つ留意点があります。平らなプレートを除き、陶磁器は大抵の場合表面が真っ平らでない、ということです。これはどういうことかというと、例えば、丼の内側に一直線に店名ロゴをを入れるとすると、ロゴに微妙なカーブを入れる必要が生じます。店名ロゴさえそうですので、もっと凝ったデザインならそれを元に表面の歪曲にあわせてデッサンの「狂い」を修正し、新たにデザインを起こし直す必要があります。ほかにもふつうの印刷とは違った行程や作業があるため、いろいろ制約が生じるわけですが、そのあたりの説明は詳細な説明の方に譲ります。

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レベル3 オリジナルな色、形状の器をつくる

元手と執念が必要です

気に入った形状があるのに色が気に入らない、などということがあります。(この場合の「色」というのは、付いている柄のことではなく器の生地そのものの色のことを指します。)場合によってはカタログに掲載されていなくてもご希望のものが存在している場合もあります。お問い合わせいただけば、当社で探すことももちろん可能です。(実際そういう問い合わせは多いです)問題は、どうしてもほしい色がない場合、です。生地の色はほとんどうわ薬=釉薬(ゆうやく)で決定されます。同じ土(粘土)からできたものでも釉薬によって全く違った色の器になるわけです。色を変える、ということは釉薬を変えるということなのです。行程の一部を変えるわけですから結構大変なことですが、ものによっては50個とか100個とかで対応できる場合もあります。実は焼き物の発色というのはとても微妙であり、極端に言えば結果オーライ。その偶然が生み出す美しさが焼き物の神髄、と言う人もいます。その他土の種類や焼成温度、焼成方法によって絶対出せない色(その窯元の技術や化学的要因によって)も存在します。50個とか100個のために何度も試験焼成するのもちょっと大変です。できることとできないことがあることを覚悟しておいてください。

最後に「形状」の話。

まず、陶磁器の原型は高価な金型ではなく石膏ですので型代そのものはそれほど非現実的ではありません。(100万円とか、そういう金額にはならない、という意味です。それでも本体の価格に比べればかなり高価ですが・・・。)手作りに近いものなら、比較的簡単にオリジナルの形状を作ることができるでしょう。反対に、洋食器の磁器のプレートにオリジナルの彫刻を施して・・・となると相当のロットを覚悟しなければなりません。基本的に、当社の扱っている陶磁器はほとんどが工業製品であり、工芸品ではありません。形状からオリジナルで製作するなら、それなりのコストとロットを覚悟して下さい。

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